子どもの矯正、
親が後悔しないために
第4章
目次 ▾
PDFダウンロード
CHAPTER 04家庭でできること

治療を成功させるために
保護者に知っておいてほしいこと

矯正治療の成否は、医院での処置だけで決まるわけではありません。矯正治療に対する保護者の関わり方が、治療結果に大きく影響します。診療室で見てきた失敗のパターンと、その防ぎ方をお伝えします。

相談前に、伝えたいことを整理しておく

初回相談では、お子さん本人が伝えたいことをうまく言葉にできないことがあります。保護者の方も「なんとなく気になる」段階で来院されることが多いもの。できる範囲で、何を知りたいか・何が分からないかを準備しておくと、治療の出発点がより良くなります。

相談前にメモしておくと役立つこと
治療に影響が出やすい「伝言ゲーム」

子どもの矯正では、毎回の通院に保護者の付き添いが必要です。その際によく見られる問題が、付き添う人がその都度変わることによる情報の断絶です。

付き添いがバラバラだと

「装置をこう使って」と前回お父さんに伝えたことをお母さんが知らない。「次回まで気をつけて」とお母さんに話した内容を、次回お父さんに確認すると「妻に任せていて分かりません」。情報の断絶が積み重なると、治療が遅れ、処置の効果も表れにくくなります。

同じ人が付き添うと

医院からの説明を直接受け取り、前回からの変化や気になることをその場で共有できます。治療の流れを継続して把握している人が一人いるだけで、治療の質は大きく変わります。

固定できない場合は、情報共有を仕組み化する

毎回同じ人が付き添えないご家庭も多いはずです。その場合は、情報共有を意識的に仕組み化しましょう。

来院
言われたことを
メモ・写真で記録
家族グループで
共有
次回来院前に
確認

LINEのグループ機能など、家族で情報を共有するツールも便利です。「今日の矯正で言われたこと」を写真やメモで残すだけで、伝言ゲームのリスクを大幅に減らせます。

保護者の姿勢が、子どもに伝わる

矯正治療は、お子さんにとって決して楽なものではありません。装置の違和感、食事のしにくさ、定期的な通院。これらを乗り越えるには、本人のがんばりだけでなく保護者の姿勢が大きく影響します。子どもは、保護者が前向きか、指示を家庭でも一緒に実践しているかを敏感に感じ取ります。

前向きな声かけ

装置を初めて着けた日に「かっこいいね!」「全然気にならないね!」。「一緒にやろう」「どうしたら頑張れるかな?」という関わりが、続ける力になります。

後ろ向きな声かけ

「大丈夫?痛くない?」「変な感じする?」。「先生の言う通りちゃんとしなさい」だけで終わる関わりは、その後の反応を大きく変えてしまいます。

矯正治療は、医院と保護者とお子さんの三者で作り上げるもの。保護者の理解と適切な関与が、治療の質を決める大きな要素の一つだと、ぜひ覚えておいてください。

「もういいかな」と感じた時こそ、続けてほしい

治療が進み見た目が整ってくると「もうこのくらいで」と感じる方は少なくありません。しかし、見た目が整った段階と、機能的に治療が完結した段階は必ずしも一致しません。

特に、治療の最後に使う「リテーナー」(後戻り防止装置)を自己判断でやめ、歯のガタつきが再発して再治療になるケースは珍しくありません。治療の終了は、必ず歯科医師と相談の上で判断してください。

※本書は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。お子さんの状態については、矯正歯科を専門とする歯科医師にご相談ください。